ABST

人形町Visions2020121日~21

現代作家画廊グループ展

鑑賞日:124日(金)


ある。目の前に。その何ものかは、確かに存在している。その姿は、緩やかに形を変え、いくつもに様相を見せてはいるが、それはあるということを示すため。あるということを突き詰めていくと、あるとないが等価になる。だからないを具体的に表さなければならない。ないの形はない。しかしないはある。そのないを形にするために、やはりいくつものないの様相を示さなければならない。時には空洞を孕み。時には視覚を裏切り。さらには形を見え難くすることで。その作業、あるを視覚化する。なぜなら、それは目の前にあるから。いや、目の前のあるを創り出すために、一切の属性を排除し、そのものだけを現そうとする。そのものには、形を色彩が伴ってはいるが、それもあることの一つとなる。形と色彩は、変換可能であり、それ故に複数のあるを産み出すことにはなるが、それはすべてあるというただ一つの出来事のため。そのあるという出来事は、そのような繰り返しのなかでしか確認できない。