神田日勝 大地への筆触

東京ステーションギャラリー202062日〜628

戦後物故作家回顧展、三会場巡回、特別協力:神田日勝美術館、企画協力:北海道新聞社、北海道立近代美術館

鑑賞日:620日(土)


雨が降り、雪が降り、すべてが土に浸み込む。人も馬も土に浸み込む。人も馬も土の一部でしかない。木を切り削り家を建てる。家もまた土と同化する。その壁と私は一つのものだ。雨と風と雪が壁の表情を作る。私の表情も雨と風と雪が作る。大地の砂埃が舞うように。草木が風で揺れるように。その生活は、閉じてはいない。雨や風や雪と同じように、生活に情報というものが入り込んでくる。情報は土と同化できない。むしろ土を剥ぎ取ろうとする。私の土を。土と同化した私の皮膚を。情報に囲まれた私は、以前のように振る舞えない。外では以前と変わらずに雨が降り風が吹き雪に覆われているというのに。情報に囲まれた私は何でできているのだろうか。私に入ってきた情報は、どのように出ていくのだろうか。出ていく情報は、私なのか。私ではないのか。もう土には還ることはできないのか。