櫻井 あや乃 個展 「同じ海から」

KATSUYA SUSUKI GALLERY、2024年4月27日〜5月6日

現代作家画廊個展

鑑賞日:4月28日(日)

 

自分は本当に居るのだろか。この世に。この世とは何か。私を取り巻く世界はあるが、それはこの世とは思えない。現実はある。確実に。しかし、目の間にある現実と、それを構成しているのだろう世界とが直結しないのは何故だろうか。日々暮らす目の間に在るものが、なにを拠り所としているのか。いや、在るのだからそれでいいのだが、考える。存在はどのように発生するのかを。そのために自らの存在を溶かしていく。液体であり固体である自分に気づく。溶かした自分は液体になり、さらに気体となっていく。その稀薄な私は世界を充満しつつあり、その存在を消していく。物質の単位としては最小のものとして、あまねく存在しているはずなのだが、本当にそれでいいのだろうか。固体に戻るべきなのかもしれない。私が世界に取り込まれて、存在が亡くなってしまうまえに。その時に、存在を示すためにそのフォルムの外周だけを明らかにする。そこで、世界と私の境界を明示して、私の存在を確保しようとし、世界から浸透してくる存在の塊たちと交信する。