海老塚季史 " 旅と生活 "

s+arts、2024年4月12日〜4月27日

現代作家画廊個展

鑑賞日:4月12日(金)

 

何かを手に取る。そのものが何であるのかは理解している。そして、その理解以外の何かも、そのものは有しているに違いない。そこで、その手にしたものをよく見る。よく見るなかで、疑念がわく。私はなぜそれを手にしたのか。どうしてそのものと私は向き合っているのか。それはよくわからない。偶然とは言わないが、それは予期できないことだったから。そこで、手に取ったものを観察する。そのものの形を変えず、世界のなかでの在り方を変えることはできるだろうか。そのものを私が手にしたときに、それは在るといえるのだが、そのものが本当に在るということは、どういうことかを確かめたい。そのために、少しだけ操作をしてもいいのではないか。そのものを改変するわけではない。意味も変わることはない。ただ私が手にしたために、変化が起きてしまう。それはその存在の場を、別の場所に移すことで、新たな関係性を発生させる行為だといえないだろうか。だから、意図しない関係を生み出すために、私は何かを手に取る。