アブソリュート・チェアーズ

埼玉県立近代美術館、2024年2月17日〜5月12日

現代美術テーマ展、自主企画単独開催

鑑賞日:4月12日(金)

 

道具には定められた機能がある。かといって機能だけを求めなくてもいい。そればかりか機能とは異なった意味を付与されることがある。その意味が増殖し、道具の機能が無化されて、意味のみが独り歩きするときに、その道具の本質をどのように見極めればいいのだろうか。その場合は原初に立ち返ればいいのがだ、その道具はすでに意味にまみれてしまっている。その意味によって構造化された状態から脱出するために、意味をサーベイすることも必要だとは思うが、その一方で、その道具がどのような状態で成立するのか、という問いも必要だろう。その道具の機能が失われるのは、いつか。どのような時か。それはなんでもない、特別でもないときに現れる。ほんの他愛もない出来事で、機能は失われてしまう。しかし、それに気づくっことは稀だ。そして気づいて、その姿を見たときに、原初が出現する。自分がなにを欲していて、その機能が必要だったかを知ることになる。