マティス 自由なフォルム

国立新美術館、2024年2月14日〜5月27日

近代絵画巨匠回顧展、主催:国立美術館読売新聞社。メディア共催大型展

鑑賞日:4月18日(木)

 

絵画は、線と色彩について語ることが多いが、重要なのはそれらの量ではないかと考える。線は抽象的で幅のない、概念として何かを区切るものではなく、色彩を伴った幅のある帯として画布に定着している。その幅が広くなり面として認識されても同じことだ。その色の対比、形体は、結局は画布の上に、画面のなかのそれぞれの要素のバランスの問題であり、それぞれの量に帰結する。その量とはなにかと突き詰めたときに、視覚的な問題として量を計ろうとしたところに先駆性がある。そのためにプロポーションは歪まざるをえない。人の形はそれぞれの部位が、空間のなかでどのような領域を占めるかが観察の基になるからだ。それは彫刻において顕著に現れる。部分から発想して全体が構成される。それぞれの塊の配置として全体が現れてくる。そのように対象物と空間を把握するために、空間は量で埋め尽くされる。色彩と線の。線によって色彩の量が変化し、色彩によって線の役割が変化する。壁に掛けた布は、そして壁に描かれた絵は、空間という漠然としたなにかに、量を与えるために必要となる。