飯嶋桃代展 Sphinx―人間の台座

ギャルリー東京ユマニテ、2024年2月5日〜2月24日

現代作家画廊個展

鑑賞日:2月19日(月)

 

手に入れるためには、まず失わなければならない。充実を求めるために、虚ろを設る。かたちとはそれ自体で成立しているのではない。物体としても意味としても、なにかのかたちとしてあるのだから、そのなにかを求める必要がある。かたち以前のなにか。それを創り出そう。手を触れるとかたちができてしまうから、なるべく手を触れないように。かたちがなにかの指標とならず、かたちが自ら意味を発するように。吸い込み、吐き出さず、凝縮してゆく。なにかが。その虚ろに流し込まれるのは、影。過去の行動の軌跡を内在し、物質としては変容している。そして実体がない。かたち作られると同時に消えていく。そのような物質を流し込み、凝固させる。内と外、上と下といった空間の概念を反転させる。自らを支えるものを見つけるために。自らがなにによって成立し、自立しているのか。それを探すために、内は外に出て、外は内へと入り込む。反転し凝縮した世界のなかに閉じ込められ、さらに虚ろを求める。