飯嶋桃代展 鏡とボタン―ふたつの世界を繋ぐもの

ギャルリー東京ユマニテ、2018年6月11日〜6月30日
現代作家画廊個展
鑑賞日:6月27日(水)

空間を折り返す。そのまま拡張するのではなく、折り返し襞を作ることで空間を複雑にし、内側に拡げていく。ある空間のなかに作られる虚構としての拡がりは、虚構という構造のなかに実態を持ち、私たちはその空間こそを体験することになる。空間は束ねられ留められ、密封され、そして反射する。意図的に設えられた歪みによって、私が今立っている空間は、内と外の境を失い、虚実の拠り所も失う。信号が絶え間なく届けられる異質な空間のなかで、視線が定まるところはない。閉じた空間のなかで物体は、その外形がなにを指し示すかを知ることもなく、宙に浮かざるを得ない。だから、わずかな歪みを伴うだけの空間に立つ私も、その空間の実態と外形を知ることなく、閉じ込められている。歪みは単なる光の迷いであり、なにかの反映ではない。私は私の迷いであり、そして空間の歪みの一つとなる。