金田実生 水の音が走る夕刻

ギャラリー・ハシモト、2018年7月20日〜8月10日
現代作家画廊個展
鑑賞日:7月25日(水)

夾雑物が次々を視界から消える。それらは確かに在るのだろうが、私の世界のなかでは、今はまだ見るべき時ではないので、認識から外れ、空間は透きとおっていく。そのなかで発せられる火花。存在の輝き。身震いをし、周囲の空気と摩擦を起こし、自らの形を崩していく。結合を緩やかにし、間隔を拡げ、遠心力と求心力のバランスを逸し、形は崩れていく。その崩落という運動こそが、自らの存在の証明であるかのように。各所で崩落が起きる。それぞれが光り輝き、細かな光の粒となって浮遊する。今、闇のように沈黙し、身動きせずに時を待っているものたちは、そのまま眠るように溶け、そして徐々に細かい粒となって空間に溶けていく。その生まれ続ける液体化した闇のなかで、光が、色彩が、震えつつ、空間のなかに存在するなにかと私の関係を明らかにする。