没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖

東京都写真美術館、2014年3月4日〜 5月6日
近代物故作家回顧展、公立館2館共同企画巡回、共催:美術館連絡協議会
鑑賞日:4月24日(木)

技術の革新は、生活の革新であるとともに認識の革新。技術の習得は、未知への挑戦とともに自己の世界観の拡張。その革新後の世界は。人の姿も、ものの姿も変わらず。自分の姿もほぼ変わらず。世界は急速に動いているようで、新しいものも目に写るようで、しかし。その技術が生活に対する本質的な何かに触れているとの信念は、技術の射程が遠く離れていたとしても、確固として揺るがないか。開かれていくという事実と感覚が、他者にとって不要なもので説明すら求められないことであっても、そして開かれた目にも伴走者が必要であったとしても。
技術が世界を切り拓き、世界の認識の方法が更新され、その世界は何によって成立しているのか。
新たな認識の方法を知ることは、世界を認識する方法が一様でないことを知ることであり、新たな方法を拒絶するのではなく、かつての方法を採択することも可能だ。かつての方法の利点もまた、他者にとって説明不要なほど自明なものであったはずだが、いつしか説明不可能なものへと急速に変化していく。
技術の革新の礎となり、自らはそれを踏み越え、とらわれることなく、認識の多様性のなかで、世界を相対化する。