山口勝弘展 『日記』(1945-1955)に見る

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館、2022212日〜417

戦後物故作家公立美術館テーマ展、自主企画単独開催

鑑賞日:327日(日)


何を再現するのか?世界の一部か?全体としての私か?どちらも仮定でしかなく、しかも幻想であり、現実に抗することができないという経験も持った。再現という行為に意味がないわけではない。再現は創造であり、表現でもある。私の内側の問題と、私の外側の問題を、どのように接続するのか?それは私が世界とどのように結びついているかと等価だ。私の内側に接続した世界は、もはや世界そのものではなく、別の姿に変わっている。実は世界そのものという存在すら虚構であり、あらゆる人々が歪めた世界が不定形に集合して成り立っていると考えるべきだろう。その無数の内側によって成り立つ外側に対して、私は何を成しているのか?それは私が再現するものによって、語ることができるだろう。いや、再現する方法によってと言ったほうが正確なのかもしれない。方法の優位を前提にしたときに、再現されるものは主体とならず、客体となる。これによって世界のすべてが客体となり、私は居場所を失う。