田沼利規個展 「絵ー肌」

TAKU SOMETANI GALLERY 201997日~929

現代作家画廊個展

鑑賞日:922日(日)


表面の内側へ。もしくは内側から表面へ。物理的な存在そのものが不確かな膜のような表面を往還する。膜を膜としたら表面ではなくなる。擦り、そして写しとることで、表面を欺かなければならない。表面がいつ現れるのかは、予測できないのだから。そのために内側を作るのか、外側を作るのかが問われてくる。内側と外側は互いに離反し、通い合うことはない。全く別の原理から成り立っている。物質も組成も異なっている。その両者と接する表面はどこの世界に属しているのか。内側と外側の関係は視点の設定の問題であり、その境界に位置する表面の「表」もその設定による便宜的な方向付けでしかない。たとえそれが反転したとしても、表面に現れたものが発する意味に変化はない。それは表面が絶えず傷つけられ、汚されているからだ。ほかの何かではなく表面だけが、その苛烈な仕打ちに耐え、引き受け続けている。自らの生を手に入れるために。