白井晴幸「景色の光景」

GALLERY TAGA 220221110 日〜1220

現代作家画廊個展

鑑賞日:1117日(木)

 

光を切り取る作業と光を定着させる作業との境はない。そのどうにもならない機械性というか、物理的な出来事にどのように立ち会うかが、機械を操作する人間の役割になってしまう。であれば、機械に身を委ねて従順にただ操作をまっとうすれば良いのはわかっているが、そこで世界は反転し、操作する主体が浮かび上がってくる。私は操作をしたいのではなく、世界を切り取りたいのでもなく、ただ機械と同化して、機械が何をするのかをみたいだけなのだが、機械が現す世界は、私が見た世界とは少し違う。いや、見た世界そのものでもある。私は世界を見ることはできない。見ていないもののほうがずっと多い。だから機械の機構から抜け落ちたものがあることが前提となった、偽りの映像のほうがより私の真実を表している。私は偽りの世界に生きているのではない。その場を通り過ぎる人々が偽りの存在であり、機械がその存在の価値を峻別するだけだ。