安藤 榮作 空気の狭間

Gallery TAGA 22018111日~1126

現代作家画廊個展

鑑賞日:1122日(木)

 

 

ある超越的な真理が何処かにあるとして、今ここにあるこの世界はその真理の影に過ぎないと考える。真理を理解するのは、影を通してでしかない。影としての光景、影としての人間、影としての自然。その実体に触れ、だからと言ってその真理を見ることができなくとも、なんら困ることはない。真理は枠の外にある。しかし、真理を垣間見てしまったらどうか。もしくは、真理の気配に気がついたら。それは影を通じて理解するしかない。今あるこの世界の影。真理からさらに遠く離れ、しかし現世界の実体とも違う。だから次元の減少を逆転させる。次元を増幅させ、現世界とは別の規範によって成立する世界を導く。しかし、そこに現れたもう一つの世界は、無表情で止まっている。いや、それは影の影なのだから、生き生きと動いている真理と結びついた世界の姿と見るべきだろう。