Blur/ブラー

ARTFACTORY城南島、2016年4月29日〜5月13日
現代作家オルタナティヴスペース二人展
鑑賞日:5月12日(木)

目の前にあるものを確かめるために写し取る。かたちを写し取る。影を写し取る。かたちが作り出すかたちと影を写し取り、かたちが発する光を写し取る。かたちは常に不安定でかつ不完全だ。かたちとしてそこに在るのも一瞬でしかなく、気がついたら消えていく。消えていくかたちを、別のかたちとして留めることで、そのかたちが生まれた経緯を確かめる。かたちの発生を確認したいのではなく、かたちが揺れ動いていることを確認したいのだ。万物は揺れ動いている。であれば、揺れ動いていることは常態となる。それならばなぜ、その揺れ動くかたちを、その任意の一瞬を固定しようとするのか。忘れないためか。そこに発見があるからか。常態を常態として確認しなければならないほどの、不安定な常態にある。安定を求めることはなく、不安定の標本が増殖し、世界は安らぎに満ちる。