篠原猛史展

ギャラリエ アンドウ、2016年5月10日〜5月24日
現代作家画廊個展
鑑賞日:5月18日(水)

指先から掌から形が生まれる、像が発生する。それらをよく観察すると、すべて言語だった。言語を使用せず。色彩とフォルムで構成するのだが、それは言語の別の現れでしかないことに気づく。であるならば、それを言語として強く自覚し、言語の数を、形態を増やしていく。その時、風は言語であり、大地は言語だった。共同体のなかで流通している言語、そのコードとメッセージとの齟齬が起きる場合があるが、その齟齬もまた言語であるからには、不自由なことは何もない。言語のなかに入ることによって、自由を獲得する。すべては表出可能であり、すべては解読可能となる。色彩はもっとも雄弁であり、水はもっとも不埒だ。色彩と水を行き来する存在は何か。視覚から触覚へ。体験から記憶へ。そして行動から瞑想へ。言語の成立を遡り、目に前の記号は浮遊する。