若林奮 飛葉と振動

うらわ美術館、2016年4月23日〜6月19日
国内物故現代作家回顧展、共催:WAKABAYASHI STUDIO、読売新聞社、美術館連絡協議会
公立館5館巡回
鑑賞日:5月25日(水)

人が動物が植物が物が動く。そこでは距離と時間が発生する。距離と時間の関係は偶発的で恣意的なものに過ぎないが、その場の動きを表す固有の距離は、固有の時間に置き換えることができる。であれば、距離を表すために時間を止めよう。いや、ある時間を表象することで、そこには距離が含まれている。それは私が静止していたとしても、その静止の時間は私を取り巻く大気の動きで、その大気の粒子の運動が、必然的に距離を伴う限り、距離として表現できる。いや、静止とは運動の一形態でしかない。むしろ運動を表すためには、その観察のためには、静止について考察することのほうが有効だろう。距離は絶えず発生する。大気は絶えず流動する。そこに静止を差し込むことによって、運動は可視化される。そして私も運動体として、静止を重ねていく。

I.W-若林奮ノート (Le livre de luciole (53))

I.W-若林奮ノート (Le livre de luciole (53))