開館30周年記念「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」

練馬区美術館、2015年7月12日〜9月6日
物故彫刻家回顧展、共催:美術館連絡協議会、公立美術館3館巡回
鑑賞日:8月25日(火)

造形すべき理想のかたちは、ある時明確になる。素材を確かめ造形する。そのかたちを支える思想は、変化しているようで、していない。思想を支えるものが変わりようのないものだからだ。素材への視線は、理想への眼差しと重なり、かたちを導く。その技術もまた思想に支えられ純化してゆく。その技術とともに純化してゆく思想の先にあるものは、例えば。それは原始ではない。原理でもない。根元へと還ることはなく、先に進むものだ。研ぎ澄まされたかたちは、人々の共通体験に支えられつつ、共通であったなにかを再現することをせず、かといって、未来の姿を示すこともない。そのかたちは、ある特殊な時空に存在する。それは時空という領域を外れた特殊な理想形のなかといえるのだろうか。かたちをかたちのなかへと還す。その作業が孕んでいる完結することの不可能性が、制作を持続させる。

舟越保武―まなざしの向こうに

舟越保武―まなざしの向こうに