スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり

渋谷区立松濤美術館、2015年8月8日〜9月21日
テーマ展、共催:美術館連絡協議会、国内美術館5館巡回
鑑賞日:8月27日(木)

見えない血をたどり、原初へ還る。その原初は、生命としての始原ではなく、創造の始まりのことだ。創造の始まりを内包しているからこそ、今ここで創造を始めることができる。その始まりに気づくことなく、創造することは可能だ。その始まりに気づいたうえで、別の創造をすることも可能だ。しかし、その始まりにとらわれてしまったら。
始まりを体験することはできない。なぜなら遅れてきた者だから。もう一度創造するために、別の創造を導くか。いくつもの始まりを重ね、そのすべてを追体験することはできず、創造は始まる。それは原初という名の一つの創造の無限の繰り返しの一部となる。無限にループする全体を形作る一部として、常に原初と深く結びつく。原初へと吸収されはじき出され、創造は始まる。他の道はない。そしてある時、もはや原初とはなんら関係のない地点に立っていることに気づき、しかし、引き返すことはできない。

詩心二千年――スサノヲから3・11へ

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