パウル・クレー だれにもないしょ。

宇都宮美術館 、2015年7月5日〜9月6日
近代画家回顧展、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会、公立美術館2館巡回
鑑賞日:8月30日(日)

あの世ではない。この世でもない。何かが産まれて来る場所はどこにあるのか。それは自然と成るものではなく、私がこの世でも作り出すことでもない。産まれる。私が作るのは、産まれて来るもののための産道。そのシステムを整備する。ルールを精査し、繰り返し、時には破綻させ、産まれ出ずるものを待つ。しかし、本当のことをいえば、待っていない。すべてはシステムとルールが導いているはずだ。さらにしかし、それでも私のなかの私には理解不能な箇所が、創作と結びついているがために、産まれてくるもののための領域を設定せざるを得ない。それは、共同体のルールから外れ、職能としてのルールからも外れ、ある神秘と結びつくがために、私はそれに背を向け、排除しなくてはならないはずなのだが、だからこそ、その神秘と向き合うことが要求される。

クレーの日記

クレーの日記