草間彌生 わが永遠の魂

国立新美術館、2017年2月22日〜5月22日
現代作家国立美術館回顧展、共催:朝日新聞社テレビ朝日
鑑賞日:4月8日(土)

私はどこにもいない。世界のなかに私のいる場所はない。私という意識は世界のなかにあるはずなのに、私という実体をそこに確認することができない。それは私が世界から疎外されているとも、私が世界自体であるからともいえるが、この際どちらでもいい。なぜなら、私の意識が、その感情のままに色彩と形体を操り、私の分身を作り出し続けても、それは私であり、私の不在を現し続けることしかできないから。私は消滅することによって存在する。だから私の真の存在を見ることができる他者はいない。その他者がいるとしたら、それは私でしかない。永遠に発露し、永遠に回帰する私は、永遠ではない。だから私は私の仮の姿、決して私自身ではなく、私のカケラであり、私が消滅した姿を作り続ける。私が不在の後も、消滅し続けるために。

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

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