大竹伸朗展

 

東京国立近代美術館2022111日〜202325

共催:日本テレビ放送網

現代作家国立美術館回顧展

鑑賞日:15日(木)

 

混沌のなかの秩序について考える。混沌には混沌に至る理由がある。その理由を辿っていけば、混沌から脱したように思えるかもしれないが、そうではない。秩序で覆われた混沌のなかに身を浸すことは、秩序に覆われていることになる。この不合理に見える世の中や社会環境が、出鱈目の産物ではなく、すべて誰かの手が入って、連鎖した結果であることと等しいということは、疑いがないだろう。混沌とはそのように整備されたものなのだ。衝動という言葉以前の肉体的反応を起点にしているとしても、衝動は長くは続かない。衝動し続けることは、人間には不可能だ。だから衝動し続けるように振る舞うことは可能だ。衝動をコントロールすることで、衝動の再生産ができる。その産物は、言葉として残される。解読のためのキーと一緒に。キーは暗示される。網膜という光を感知する器官として。感知はするが統合はしない。感知の愉悦と統合の快楽を分けた神学者がかつていたが、統合の快楽のために混沌を操作するために、秩序を反復し、秩序のルールを無効にしようとするが、言葉はさらに研ぎ澄まされていく。