坂本龍一|設置音楽展

ワタリウム、2017年4月4日〜5月28日
現代音楽家個展、自主企画単独開催
鑑賞日:5月21日(日)

絶え間なく耳の奥に入り、消えていく音。その音に秩序と無秩序を与え、音と時間を一つにする。その音と時間を結びつける秩序と無秩序を規定するために、音と時間を言葉に置き換える。それはかつて誰かがしていたことでもあり、誰にもなし得なかったことであり、しかし、モデルはモデルとしてなければならない。音と時間も誰かを祖型としており、新たに産み出されたものも、瞬時に祖型とならざる得ないからだ。その祖型と連鎖する映像もまた、何かの祖型となり、祖型としか機能しないものとなる。それは決して荒々しくも野蛮でもない。完全にコントロールされた、しかし、原初的な鋳型としてあり、もとより音はそのような鋳型として響いている。その音と映像を前にして、時間の経過とともに聴くと見るは分離し、結果として聴くも見るも消滅する。