イメージの力ーー国立民族学博物館コレクションにさぐる

国立新美術館、2014年2月19日〜6月9日
国立2館共同企画巡回展
鑑賞日:3月24日(月)

必要に迫られ人が作り上げてきたかたちは、想定した最終の形態よりも、その機能が優先される。寄せ集めの形態の部分部分に意味を付与し、全体の機能を強化する。その際かたちとして選びとられたものたちが本来持っていた出自や機能、さらにはそのかたちすらも、文脈を変えられ、新たな意味付けも曖昧なまま、全体へと接続される。その全体とは、必要性の総体であり、形態の全体性ではない。全体のかたちは非常に重要なファクターであるが、しかし、副次的なものでしかなく、複数生産される際の個別性は、新たな必要性を獲得し、個別性は機能へと変貌する。
必要から切り離された形態に、別の神話を捏造することは可能か。別の神話は何を必要としているのか。神話を設計することなく、神話を発生させる装置、のようなもの、としての神殿だけを設定し、祭司も歴史もなく、形態は期待だけが込められる。それは誰の期待か。仮初めに祭司の役を負わされたものが、未来の神話を語ることができず、かつて失敗した物語をさぞ価値ありげに繰り返す。それは神の不在の表明とも、物語の不可能性の喩えともならず。