石山修武公開シンポジウムーーこれからのこと

早稲田大学建築学石山修武研究室、2014年3月30日
退官記念シンポジウム 会場:早稲田大学大隈講堂
鑑賞日:2014年3月30日(日)

物事が振動を始めると熱が発生し、振動と熱とが周囲へと伝播する。振動する主体が振動を持続するためには、内部に大量の燃焼物を持たなければならないし、点火する装置も更新されなければならない。周囲へ移った振動と熱もまた、移っただけでは持続されない。その振動に同調する固有性を持つか、その振動を計り自分を調整することができるか。共振する相手の内部から振動が始まれば、その振動と熱は融合しさらに増幅する。しかし、それもまた新たな閉鎖系となるのか。永遠に振動し続けられるのか。それよりも、他者の振動を受け入れることで、自らの振り幅の変革を導くことを求め、さらなる振動を発信する。遠くへ発信するために振動を強めるのではなく、振動していることを伝える。振動している主体と接触せずとも、その周波数の振動がどこかに存在していることを知ったならば、その周波数で振動すればいい。そして振動の根源は、振り幅も振動も変化させずに、他者の振動を受け入れ、自らを増幅させる。振動の根源に直接触れるということは、この術を目の当たりにし、振動を発生させる原理を知るばかりでなくその術を自らのものにすることにほかならない。

生きのびるための建築

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