川内倫子展 照度 あめつち 影を見る

東京都写真美術館、2012年5月12日〜7月16日
現代作家個展、単独開催
鑑賞日:6月30日(土)

私は世界のなかの不完全な一部分だから、世界を断片的にしか見ることができない。私が見ているものも不完全な一部分でしかないことがわかっているから、その部分をよく見て、世界の大きさを想像するしかない。想像するためには目の前の部分をよく見続けないといけない。どんなによく見ても世界の全体は見えてこない。よく見えない世界というものは、実は目の前の部分でしかないとは考えられないだろうか。よくみると部分には部分の世界がある。光の移り変わりで、新たな部分が発生し、それとともに新しい世界が誕生する。あらゆる部分は等価な世界を有している。私も部分でしかなく、一つの世界でしかない。私の目の前で繰り広げられる部分でしかない世界と私は、どのように結ばれているのだろう。私は世界を確認し続ける。いつか全体に出会えるのか。それとも部分と私の一致が見られるのか。それとも私が出会った部分は、私自身でしかないのだろうか。だとしたら私はどのようにして私と出会うことができるのだろうか。

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