ジャン=ミシェル オトニエル:マイウェイ

原美術館、2012年1月7日〜3月11日
現代海外作家個展、単独開催
鑑賞日:3月10日(土)

階段を上がった壁面に掛けられたリネンのローブは光を反射しない。それは静かに吸収する。そして何も写さない。白いリネンで纏うのは内部の穢れ。白いリネンで守るのは外部の穢れ。白いリネンが吸収するのは、内部と外部の両方から染みてくる穢れ。内部と外部を浸透によって結ぶ役割をもったリネンを身につけ踊る。
反射は身を守るため。透過は受け入れるため。反射は自分の姿を写すため。透過は身を隠すため。ガラスの珠はローブの異形。ローブは我と彼の穢れによって白さを失っていき、だから白かったことが明らかにある。踊るのはローブの白さを取り戻すためであって、我と彼の穢れを浄化するためではない。
なぜ踊るのか。なぜ浄化が必要なのか。繰返し踊ったところで内部と外部の穢れは消えやしない。穢れが染み込んだローブの輝き。その聖性に目を向けた時、光り輝く珠が現れるだろうか。連なり、垂れ下がり、空間に溶け、異質な光を放つ。その光はローブの染みから立ち上る。

Jean-Michel Othoniel

Jean-Michel Othoniel