草間彌生 永遠の永遠の永遠

埼玉県立近代美術館、2012年4月14日〜5月20日
共催:朝日新聞社
現代作家個展、3館巡回
鑑賞日:5月14日(月)

私が増殖する。強烈に独立した絶対的な個であるにも関わらず。私は反復する。私は空間に充満する。私は私であるから手を結び、網目となって空間を覆い尽くす。私は私であるから二重三重に現れ、重なり、空間を覆い尽くす。中心から周縁に向かう旅は果てしないので、周縁から中心に向かっても私は進む。そこで産まれた枠は、空間を閉ざすものではなく、内側から外に向かって開かれた窓となり、窓の外にさらに私の世界は拡がっていく。内と外を隔てるものはなく、上下左右に私は拡張する。人の形をした私のなかに世界はある。人の形をもたない私のなかにも世界はある。反復と増殖は私がただ一つしかないことを確認するため。私は繰り返し、繰り返さない。私は帰る場所を見つけるために、世界をくまなく進み続ける。

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)