衣真一郎展 山と道

藍画廊、2021726日〜87

現代作家画廊個展

鑑賞日:84日(水)


自分の居場所を確認する必要がある。どこへ向かっているのか、わかってはいる、ただ地図を持っていない。だから測量する。一歩ごとに。目に見えるものと目に見えないものの位置を記録していく。位置はその都度変わる。それでもかまわない。線を引き直せば良い。ただ自分を起点をした距離の測り方は変わらない。基本的に私は建築物としてある。それが塔かと問われたら、そうでないとしか答えようがない。塔であってもよかったのかもしれない。未完成の。途中で放棄された。しかしそれでは測量できない。未完成で放棄された塔は、測量の対象になることはあっても、測量の基点にはならない。本当にそうだろうか。未完成の塔を測量の起点にした時、どのような計測が可能なのか。世界の位置関係が変わってしまうだろう。もちろん私の立っている場所も。その世界は、今の世界をどう違うのか。では、次はどう測ろう。塔ではなく、別の構造体をモデルにするか。視点は高い必要はない。なるべく低く、できれば地表レベルで、遠距離を計測する方法を導くために。