高木修展 特異な空間へ

栃木県立美術館、2016年7月9日〜9月22日
国内現代作家回顧展、自主企画単独開催
鑑賞日:8月11日(木・祝)

仮に私の体を基点にして世界を測る。しかし私の体は基点になるための要素を満たしていないため、複数の体を組み合わせて、世界を測る。測られた領域は、それ以外の膨大な空間と人々に比べると限りなく小さなものではあるが、測られた領域を一般化することの可能性を探ろう。その一般化はあくまでも仮であって、特殊な私の世界を主張するものではないのだから。私一人で世界を測るためには、その単位となる原器が必要となる。測るべき事柄は、距離と密度と時間だ。そこに別の要素は組み入れない。ここでは仮としても他の尺度を援用することはできない。だからまず、距離と密度と時間を一度に感知し、一つの数値のような状態としての表す原器を、作らなければならない。それは世界を凝縮したものではなく、世界の真理に結びついたものでもなく、私が世界の一部であり、世界と分離しているように、その原器もまた、世界の余白の外側に位置する。