岡崎乾二郎展

Takuro Someya Contemporary Art 、2016年11月10日〜12月11日
現代作家画廊個展
鑑賞日:12月8日(木)

景色を前にして沈黙し手を動かす。目の前に拡がる光景をその形態の属性と私からの距離をルールとして切り取り、さらにその色彩を取り出して変換し、再配置する。色彩の泡が画面のなかでの膨張と破裂を繰り返す。光景は色彩に置き換わったのではなく、そのままの状態にあるとはいえないだろうか。光景を見ている目の振動を、振動として描く。形は揺らぎ色彩も変化し、視点は彷徨う。手の動きは描くことを表しているのではなく、見ることを直接的に示している。運動しているのは身体のではなく、認識の機能ということになる。風が吹き木々が揺れる。その葉一枚一枚の不規則なおう運動を見ている目は微動し、像は何重にも揺れ動き、曖昧な輪郭線を持った全体として構成される。輪郭は閉じて完結することはなく、外部と内部は互いに開かれている。そこにあるのは断絶であり非連続であって、外と内が融合した全体ではない。それは一枚の絵を見ることも同じであり、見ることの微動により絵を閉じることができないから、もう一枚別の絵を並置し、その間の往復運動を強いることで、見えない絵を観賞するという行為を成立させる。