加納光於≪稲妻捕り≫Elements 1978

ギャルリー東京ユマニテ、2017年4月10日〜4月28日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月26日(水)

粒子が振動し、方向性を持ち始め、しかし回転する。その運動のなかに磁場を持ち、運動の軌跡を保ちつつ凝固し始める。回転は、辿り着くことのない中心に向かって連続し、その運動は奥行きを発生させる。粒子は寄り添い、拡がり、回転運動をやめる。その時点から、運動は物質へと転換する。その物質は、大きく重い。永い時間によって形成されたがために、その場所から剥離することはできない。一瞬であり、粒子であったものが、永遠の存在と同義になる地点には、言葉が必要なのではなく、その物質から発生する言葉以前の、しかし言葉としか結晶しえないものが、存在する。その言葉としか結晶しえないものは、物質にはなりえない。だから、運動というなにかの働きの一形態に寄り添い、自らの回転し、運動と化することで、物質への憧れを表明する。

葡萄弾ー遍在方位について (1973年)

葡萄弾ー遍在方位について (1973年)