椎木静寧キュレーション展「きこえないおと」角田俊也、松井茂、森弘治

TALION GALLERY、2017年4月15日〜5月14日
現代作家画廊個展
鑑賞日:4月29日(土)

自らの生理を知覚、認識し、それを生理ではなく、統御可能な事柄へと変換するために、見えないものを見ようとし、聞こえないものを聞こうとする。それらは振動し、域を持つ。その振動を感知するために、自らの閾を増幅させる。他者の無意識から発生する生理に入り込み、自らの生理と同期させる。その波長は決して合致することがない。その同期作業によって明らかとなる誤差こそが、私の生理を計測するための原器となる。
誤差、そのありうべき姿と設定において現出した仮象との見え方の差が、別の振動の姿として可視化される、もしくは音として認識される。その絶えず揺れ動いている、そして彼方へと届けられ、いつしか消えてしまうものは、やはり私の生理か。私のある時間の振る舞いが、なにかのメッセージを表象しているとしても、そのメッセージの本質は、いつかどこかの地点で、か細く消失してしまう私の生理にある。