高柳恵里|事実

TALION GALLERY、2017年3月12日〜4月9日
現代作家画廊個展
鑑賞日:3月22日(水)

身振りが私の周りにある事物の存在の仕方を決定し、周りの事物が私の存在の仕方を決定する。事物はそれがそのように存在したい方法で存在しているのではない。私の身振りが所作が、事物をその存在から引き剥がし、かといって新たな意味は付与せず、そっとその存在の仕方のみを置き換える。置き換えられたのは私の存在でもある。物を置き、動かし、放置し、片付ける。私は置かれ、動かされ、放置され、片付けられる。何によって。私の周りのさまざまな事物たちが、私の表皮となり行動となり現象となり、他者と関係を結ぶ。そこに意味を発生させず、私は私自身であるために、事物を手に取る。それは私であり、私とは無関係でしかなく、それに触れたとしても、私の内部に発生するものはない。だから、色濃く私となって空間に放置され、沈殿し、堆積し、私のかつての気配となって消えていく。