亀井梓 Cycle

Gallery Momo Ryogoku、2016年6月4日〜7月2日
現代作家画廊個展
鑑賞日:6月8日(水)

世界の内側に閉じ込めていたものが溢れ出てくる。各所から、隙間なんてなかったはずなのに、いつの間にか内と外の境がなく、一体化したかと思うと、内側の世界が外側を支配している。そこには破綻はなく、完全に世界が新たに構成される。その世界の住人も決して異形ではなく、今までと何も変わりはない。ただ、そこかしこで、溢れている。ところどころ表皮が消え、何かが露わになる。だからといって傷つくものはなく、世界は完全を保ったまま維持される。物質は物質であることを主張し、光は光であることを主張する。闇は見えない何かを孕んだ世界だはなく、物質の奥行きとしてある。すべては等価で、ただ外と内とがない。物質の奥行きを突き抜けた先はこの表面へと戻ってくるのだろう。本当の奥行きは、溢れ出た内側のなかにある。その内側を溢れさせた力は、それまで閉じ込めていた表皮の奥行きとしてある。