安田佐智種「VOID」

ベイスギャラリー、2016年7月4日〜7月30日
現代作家画廊個展
鑑賞日:7月21日(木)

重力がある。重力があることは自明とはしていても、重力に抗うことを日常的に行うのは困難だ。そのなかで自明である重力を問うことなくて、表現は行われる。重力を問うことは稀だからこそ、それがトピックとなることもある。だからこそ、重力について、それは表現に対してどのように作用するのか、そして重力を問うことは表現になるのかを、もう一度問うてみよう。表現が重力に反した一瞬を捉えることができるか。重力を反転させる表現は可能なのか。高速で落下する視覚をズームアップすることで、消失点と対象の関係は、相反する。一点透視遠近法を反転させることで、今いる地点は地上の一点ではなくなる。それはある場所と、もはやない場所を繋ぐ手段でもある。なぜなら私が今いる場所と私を支えている重力というものは、自明ではないから。