堀浩哉 起源

多摩美術大学美術館、2014年10月18日〜 11月9日
現代作家個展、退官記念単独開催
鑑賞日:11月7日(金)

描くことについて考察するために描く。描くことについて問い直すために描く。私の腕はなぜこのように動作し絵具を紙の上に塗りつけるのか。繰り返し繰り返し引かれた線はどう違うのか。結局違いはどこにもないのかもしれない。引いた動きも、色も、日付も、感情もすべて違うはずなのに、同じものしか現れない線。けっして軽やかではなく、奥行きも発生せず物質として形を留めていくのみ。それでも、描き続けることで、その絶対的な真実を確認する。もはや描くことは描くことではなく、描かれた結果としての絵画を考察するために描くことを辞めるのと、同義となる。描くことによって、結果として発生する絵画と呼ぶべきものを召喚するのではなく、描き続けることで絵画が絶対的に現れない領域を見定める。

滅びと再生の庭: 美術家・堀浩哉の全思考

滅びと再生の庭: 美術家・堀浩哉の全思考