赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで

千葉市美術館、2014年10月28日〜 12月23日
現代作家回顧展、美術館連絡協議会、公立館共同企画巡回
鑑賞日:10月29日(水)

観察をする。見過ごしてしまいがちのものを見過ごすことができず、かえって気になり、観察をする。もしくは、あまりにも見ることができないことが理不尽なので、無理に目を凝らし見えないものを見ようと観察をする。ただ見るのではなく、対象はどのように存在し動き棲息し、どのような性質を持っているか、知る必要があるので、観察する。その棲息の状況と性質によっては、抹殺をしなければならないので、観察する。抹殺するためには、観察の結果を克明に記録しなければならない。その記録は、なかったものを存在させる唯一の手段だから。相手にとって都合の悪い記録となるため、抹殺の危険はこちら側にも発生する。その危険もまた観察し記録する。創造は無から有を生み出すことであるが、その無は全くの無ではなく、存在しているにもかかわらず、無にされていた何かであって、有にするというのは、それを見えるようにすることに他ならない。

芸術原論 (岩波現代文庫)

芸術原論 (岩波現代文庫)