涯テノ詩聲(ハテノウタゴエ )詩人 吉増剛造展

足利市立美術館、‪2017年11月3日〜12月24日‬
現代詩人回顧展、公立3館巡回、共催:読売新聞社、美術館連絡協議会
鑑賞日:11月18日(土)

私が発する言葉は、私の言葉であって私の言葉ではない。私は身を振りながら言葉を発するも、その身振りが言葉であり、私の身振りも、私のものであって、私のものではない。私は常に何者かと二重になっている。その何者かは、過去であり、未来であり、常に私の予期せぬものだ。そのなかで二重になっている他者を、私は観察し、二つの口から二重の言葉を発する。私は予期せぬ他者とともに生きている。その他者が語りかける。私の内側に。それを受け入れ、私と同化する。しかし、完全には同化しない。同化してはならないからだ。私のなかに複数の他者を持って、常に二重の言葉を発するのが、私の言葉だからだ。私のなかから他者を取り出して見せよう。それは私であって、私ではない。取り出されそこに存在する他者の証し。私はそれもまた取り込み、私の新たな他者として同化することができる。