小林孝亘展―私たちを夢見る夢

横須賀美術館、2014年11月15日〜12月23日
現代作家個展、自主企画単独開催
鑑賞日：12月10日（水）

私が世界のなかに存在しているという私だけの実感をどのように世界に伝えたらいいのだろう。私の言葉は届かない。私の姿も誰も見ていない。しかし、私は世界に存在し私の目には世界が写っている。私の目は、世界を写す鏡であると同時に世界を照らす光である。なぜなら私が見ている部分だけが存在しているから。私が照らす世界の外は闇であり、存在し、そして、存在しない。私が照らした世界も、その輪郭は曖昧である。しかし、無いわけではない。私はその世界の中心にいるはずだ。私は私の姿をしていないが、何かのかたちとなって、かたちにならなければ光に照らされず存在がはっきりしないので、周囲と調和せず、そこに佇む。私は世界の一部であって、一部でない。私は世界の他者でしかないから、私は世界を見続ける。

小林孝亘作品集 私たちを夢見る夢