ジョルジョ・デ・キリコー変遷と回帰ー

パナソニック汐留ミュージアム、2014年10月25日〜 12月26日
近代海外物故作家回顧展、共催:朝日新聞社、企画協力:ホワイトインターナショナル
鑑賞日:12月9日(火)

オリジナリティなんてありえないことがわかっているから、過去を参照する。参照すべき過去は、目の前のリアルな問題として存在しない。過去を編集して捏造することにしか創造はない。幸い過去は豊富にある。参照すべきものも手に余っている。では、現在から限りなく遠い過去を探そう。現実の生活の目の前にも過去は溢れている。ということは、初めから私は現在に存在するのではなく、過去の集合体のうえに存在している。それに気づいた時、現在と過去は等価でしかない。未来へ向けて意思を表明することを期待されても、私の現在に未来はない。そして、過去は私自身の過去でもあるから、過去を参照することは、私を参照することでもある。私自身の過去をリメイクすることも、オリジナリティの不在を規範とした現在において、なんら躊躇することもない。その自己反復のオリジナリティは、いずれ誰かが価値付けるだろう。

デ・キリコ (アート・ギャラリー 現代世界の美術)

デ・キリコ (アート・ギャラリー 現代世界の美術)