伊東豊雄展 台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡2005−2014

ギャラリー間、2014年10月17日〜12月20日
現代建築家個展
鑑賞日:12月5日(金)

人が環境を作り出し、人が環境に作られてゆく。表現というものが、環境を操作することで、人に作用することを目的とし始めたのは、いつか。人に作用するために洞窟のなかで表現は始まったのか。人に作用するために、土が盛られ石が立てられたか。特殊な意味を持つがために特殊な造形を必要とするのではなく、日常に静かに滑り込み、気づかないうちに人から意味を剥奪するために、環境は整えられる。その環境の意味を転倒させず、新たな環境を創出することは可能か。転倒しない環境は、歪められつつも転倒しないことにより、新たな意味を付与するかのように見えて、人から新たな意味を削ぎ落としてゆく。環境のなかで人は、眼を閉じ耳を塞ぎ自らの内に入ってゆく。立っている身体に付属する高揚した未開の眼は、消失点のない環境から逆照射された点在する仮の終着点として、何も見ることはできない。

伊東豊雄の建築2 2002-2014

伊東豊雄の建築2 2002-2014