磯崎新 12x5=60

ワタリウム美術館、2014年8月31日〜 2015年1月12日
現代建築家個展、自主企画単独開催
鑑賞日:10月5日(日)

関係性のなかにか存在しない私の実体は、断片的な情報の集合体。その情報も他の情報との関係性のなかで、情報としての価値を持つ。情報の関係のあり方が、私自身と言い換えることができよう。それぞれの情報の主体が失われても、関係性は持続する。それらを関係付けるために、私は旅をしなければならない。新たな関係を結ぶためではなく、関係を関係として捉えるためである。旅する実体としての私の肉体は、関係の容れ物か?関係の発生装置か?肉体の移動からたなびく関係の糸は、絡まり、途切れ、未知の物体と結びつく。そこには私は存在せず、私の関係が停留する。地に留まり空に遊ぶ私の関係性は、しかし、未知の世界とは結びつかない。すべては既知の内に完結し、世界の網目を濃くするのみである。すべての事物に関係を張り巡らせ、私は世界と一体化する。

挽歌集: 建築があった時代へ

挽歌集: 建築があった時代へ