ジャン・フォートリエ展

東京ステーションギャラリー、2014年5月24日〜7月13日
現代物故作家個展、3館巡回
共催:東京新聞
鑑賞日:5月23日(金)

描くことに疑問を持つ。輪郭は色彩は対象を捉えているのか。対象の何を捉えているのか。絵画とは何を描くものなのか。見ていないものを描くことはできる。見えないものも描くことができる。私が描くものは、存在しているのか。存在を描くことは可能なのか。目の前にあるものは、存在しているのか。私が描くものは、存在する。確かに目の前にある。私が今作りだした。私が作りだしたものは、私が思い描いたものではない。私が見たものでもない。私が作りだしたのは、あり得るべき姿。可能性としての絵画と呼べるだろうか。何に対する可能性と言うのだろう。すべては過去と結びついており、私の記憶と感覚も過去に属している。私の作りだしたものは、過去が凝縮されている。その凝縮の不断の結合と融合が、過去を未来へと捏造する。捏造された未来は、形を持たない。気配がのみがその存在の証となる。その気配を描くために、存在するということの始まりを形にしなければならない。私が今ここに存在しているということを形にするのと同じ方法で。

フォートリエ (1959年)

フォートリエ (1959年)