立ちのぼる生命 宮崎進展

神奈川県立近代美術館葉山、2014年4月5日〜6月29日
現代作家個展、自主企画単独開催
鑑賞日:5月7日(水)

大地を大地としてあらしめるために、その地を踏みしめる無数の影が。影は物体として大地の一部となり、蒸気となって大地から遊離し、風とともに消える。地に満ちる影の実体が、地の表皮と同化し、そのわずかな起伏に薄い膜を重ねる。重なり合う膜の隙間と厚みに、次なる影が覆いかぶさる。そしてある時、影の血流が地を満たす。大地は上を行く影が気づかぬうちに血を抜き取り、その膜の裏側へ留めておいた。血を失っても立っているものだけが見ることの光景。血を失うことが、唯一大地を踏みしめる方法。

鳥のように―シベリア 記憶の大地

鳥のように―シベリア 記憶の大地