大室佑介 露台|バルコニー

秋山画廊、2014年9月8日〜9月20日
現代建築家個展
鑑賞日:9月8日(月)

空間を空間として認識する。ある場所を、ある所を、その手付かずの、手を入れられることを前提とした、六方を囲われた空間を、操作し、かつ、我がものにしない。その手の痕跡は、空間に主を設えることを拒絶し、そっと、他者を招き入れる。そこには、焦点を定めるべき創造物はあれども、視線は定まらず、ものとものとの関係性を読み解く手掛かりはあれど、その文脈は空間に作用しない。空間に入り込んだ他者は、空間が空間でしかないことに、戸惑い、居場所を見つけることができない。むしろ居るということが変質しているというべきだろう。その空間は何かの空間ではなく、何かのための空間でもない。行為を促されることで成立するものもない。誰のためのものでもないモニュメントとして埋葬されおり、その空間の本質は見ることができない。