石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

東京都現代美術館202011 14日〜2021214

国内物故デザイナー回顧展

鑑賞日:122日(水)


詰まるところ、人間は大地であり、土でしかない。土に別物の仮面や覆いを被せて、なにかを表現することに、どんな意味と機能があるというのか。土が、いくつもの変換の果てに摩天楼になったとしても、土でしかない出自を脱することはできない。目を背けるな。見続けろ。己れの姿を。なぜなら、皆土に還るしかないのだから。選択はできない。拒否もできない。土なのだから、土になるしかない。誰がそう想いつつ生きているのか。土であるしかない自分を感じているのだろうか。しかし、今一瞬、土と分離しているのかもしれない。だから色彩を纏い、形を変え、別の何かに変貌しようとする。過剰に、しかし、土と結びついた素材や色で。臍の緒を付けたまま飛び立とうとする。切り離すことはできない。ではその時、色彩と形は。