橘田尚之「基底材とメデューム」

gallery 21yo-j20201210日〜1227

現代作家画廊個展

鑑賞日:1211日(金)


皮膚が裏返る。皮膚の裏側は、表としては機能できない。内部が空洞となっていたとしても。すべては筒状からの変形でしかないとしても。表と裏は、確実に存在し、交換不可能な状態としてそこに在る。だから表面を処理しなければならない。表と裏が本来同一であることに気づくように。表になることのできない裏側を移植するように。器用に、不器用を真似て成形する。裏を見せるために。表と裏を同時に存在させるために。ある時、逆転が起きる。表は、もはや表ではない。腐蝕と色彩を伴った、不恰好に繋ぎ合わされた面が、かろうじて立つ。それは開花の前兆。崩れるために、面を失うために、表面は繫ぎ合わされる。同じ素材は異質なものとして、異なる素材は同一であるかのように。そこで空間は捻れる。表と裏の二項対立から、表と裏の完全なる分離へと向かって。