小牟田悠介「新しい天体」

SCAI THE BATHHOUSE 202197日〜109

現代作家画廊個展

鑑賞日:107日(木)


私とあなたの接点が複数ある。それを図に表した時、形体が生まれる。関係が単純な線となって現れ、私とあなた以外の人々ともその線は繋がれている。しかし、平面的に拡がりを持たせることには限界があるだろう。いつしかその平面は線に覆い尽くされてしまうに違いない。実際には重なりあう線は交点を持たず、二次元から三次元への転換を意味する。接点は空間として把握されるべきだ。私とあなたと誰かが、空間に存在しているように。私とあなたと誰かの部分が接したまま空間が伸び縮みをする。接点が無いほうが、空間を移動する主体としては自由なように考えられるが、切り離すことはできず、移動と停止が同じ状態であるかのように振る舞い続ける。その空間のなかの変化は、時間を伴う。空間は静止してはいない。時間を伴いつつ、空間は変容する。切り離すことのできない接点があるために、時には空間の内と外が入れ替わることになる。それでも接点がある限り、私とあなたは結びついたままだ。裏返った世界で。