舟越直木I 1983-85

ギャラリーせいほう、2021419日〜428

現代物故作家画廊回顧展

鑑賞日:421日(水)


平面に描くことと空間に描くことの違いは何か。誰かその問いに答えた者はあるだろうか。線を引けば場が分割され、空間が生まれる。人が立てば、場が分節化され空間が生まれる。同じことではないか。なのに、平面に描くことと空間に描くことは、別物とされてきた。平面といっても、平面はどこにあるのか。平面とは抽象的な概念に過ぎない。それは自明とされてきたはずだ。だけど、もう一度確認しなければならない。平面のなかの空間と、この場所に今自分が立っていることの空間の在り様とを。私が立っている空間は、なにをもって具体的とするのだろう。私の存在すら抽象的でしかないのに。画面に線を引く腕の動きは具体的と私は感じるが、その線は私のものではなくなっている。線を具体化しなければならない。

舟越直木

舟越直木

  • 作者:舟越直木
  • 発売日: 2021/04/20
  • メディア: 大型本